技 術 資 料

電気ヒータに関する技術的情報・資料や、進興電気の長年の実績に基ずくノウハウ等を順次掲載していきます。(連載予定)
疑問点やご希望の要項等がございましたら、どんどんお申し出ください。

1. 電力密度と表面温度
2.  良いシーズヒータとは?
3. シーズヒータの腐食

4.シ ー ズ ヒ ー タ の 寿 命
1. 一般にシーズヒータの寿命は次の3点が要因と考えられます。
 @内部発熱線の断線
 A絶縁材の絶縁劣化
 B保護管の腐食や破損
いずれの場合も、使用条件や環境とシーズヒータの設計仕様により大きく変わります。使用条件を逸脱に使用した場合や、設計仕様と異なる仕様で作成されたヒータで発生した事故等は寿命による ものではなく、不慮の事故として扱われる。

2. 「内部発熱線の断線」に関しては、発熱線の品種や線径により異なり、特に使用温度(発熱線温度)に大きく左右される。発熱線の品種は大別して、ニッケルとクロームの合金鋼と鉄とクロームの合金鋼の2種類に分類される。JIS規格では
Ni(%) Cr(%) Fe(%) その他(%)
ニッケルとクロームの合金鋼 Ni・Cr電熱線1種 (NCH−1) 79 19
Ni・Cr電熱線2種 (NCH−2) 60 16 22
鉄とクロームの合金鋼 Fe・Cr電熱線1種 (FCH−1) 25 68
Fe・Cr電熱線2種 (FCH−2) 19 79
    (化学成分率は概算値)
これらの発熱線の寿命値については定常値はなく試験方法等によっても異なりますが大概すると次のグラフの様になります。
一般に発熱線メーカは発熱線温度が1000〜1100℃の連続運転で3000時間程度の寿命と云っていますが、寿命に関するファクターとしては、次のようなものものがあります。
 ・発熱線温度が高くなると指数関数的に寿命が低下する。(グラフ参照)
 ・品種による寿命値はNi80-Cr20が一番高く、鉄-クローム系はニッケル-クローム系よりかなり低くなる。
 (特殊な鉄-クローム系はのぞく)
 ・発熱線の線径が太くなるほど指数関数的に寿命が延びます。

3. 進興電気で製作するシーズヒータは、高温仕様の場合はNi80-Cr20(NCH-1又は同等品)を使用し、400℃以下で使用される中温仕様のヒータの場合はNi60-Cr16(NCH-2又は同等品)を使用しております。
鉄―クローム系の発熱線は使用していません。低温域(約200℃以下)で使用する場合は良いが、中・高温域で使用した場合寿命値がかなり低くなることが予測できます。
当社のシーズヒータ発熱線の設計温度は上限を800℃程度と低くしているため、寿命値は推定で25万時間(1日8時間の運転で約85年)と半永久的です。

4. 長寿命のための発熱線設計
@ 発熱線温度を低くするために線形を太くする。(複数本のシーズヒータを使用する場合は、それらのシーズヒータの接続方法を変えることによって各ヒータエレメントの電圧が変わり、それに伴って発熱線の線径が変わります。最適な線径を選択することが重要です。)
A シーズヒータの熱抵抗を小さくする。(技術資料「第2章 良いシーズヒータとは」参照)
B 発熱線コイルのピッチムラによる部分的異常昇温(ローカルヒート)をなくすよう配慮する。
C シーズヒータの曲げ加工等による、内部充填材の充填密度が粗になることによる熱抵抗の増大を可能な限り小さくする。(シーズヒータ保護管を曲げ加工後に加圧成形し、内部充填密度を高める。但し、曲げ加工による内部体積の変化率の小さい場合は不要)

5. 「絶縁材の絶縁劣化」に関しては、通常シーズヒータは高純度の酸化マグネシウム(マグネシア)を使用しており、通常の使用方法では半永久的な寿命である。マグネシアは製造メーカにより用途に合わせて高純度のものから添加物を添加したものまで多種多様である。
・添加物を添加した低温用マグネシアを高温で使用する場合、経年変化で絶縁劣化することがあります。
・鉄-クローム系発熱線を高温で使用した場合経年変化で絶縁劣化することがあります。(ヒータエレメント内部の酸素はヒータを通電させることで発熱線やパイプや不純物によって食いつぶされる。鉄-クローム系発熱線を高温で使用すると酸素の消費量が多く、ヒータエレメント内部の酸素分圧が低下する。この状態で高温で長時間加熱するとマグネシア粉末が部分的還元を起こし、絶縁抵抗が劣化する。)

6. 「保護管の腐食や破損」は、使用環境に大きく左右される。そのため使用環境に適応した材料選択が重要である。腐食環境が存在する場合は特に注意を要する。
一般生活環境でよく使われる用途として、水加熱用、空気加熱用、固体加熱等がありますがそれぞれの用途で腐食要因があり寿命も異なる。
水加熱の場合、水中の塩素イオンが腐食の原因となることが多く、水アカ等の付着も寿命を短くする。これらのため水加熱用ヒータには高耐食性の材料が使われる。
空気加熱の場合、放熱フィンつきヒータの様に放熱効率を高め、ヒータの表面温度を低く設計したヒータは腐食の影響を受けないが、輻射熱を利用するヒータ(赤熱するヒータ)は高温による酸化や粒界腐食に注意しなければならない。
固体加熱用ヒータの場合、披加熱物の物性の影響を充分に考慮した材料選択とヒータの設計が必要である。
(腐食に関する内容は技術資料「第3章 シーズヒータの腐食」を参照)

7. 一般にシーズヒータの寿命値は、無理な設計や限界での使用をしない限り半永久的に使用できます。市場で発生するヒータの断線事故や絶縁低下等のクレームはヒータの寿命によるものではなく、製作上の加工ミスや使用時の外的要因によるものがほとんどです。

8. 進興電気では特定客先向けの特定品でライフテストを数多く実地しております。それ等のデータは限定された条件付のライフテストでありますが、ほとんどの場合予測通りの長寿命が保証されています。
長期間安定してご使用いただくためには、ヒータの使用条件や使用環境と設計仕様がマッチングすることが重要です。

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